ダイエット中は、とにかくカロリーを控えて動かなければならない!という強迫観念に駆られることがあります。
もちろん、食事制限ダイエットの目的は食事からの摂取カロリーを抑えることですので常に配慮すべきこと。けれども、摂取カロリーを控えすぎるのも健康に良くありません。
今回は1日に最低限必要なカロリーと今ある体重をキープするカロリーについてお話しします。
もし食事制限を主にダイエットをしようと考えている方(あるいは進行中の方)は、「食事制限だけで痩せるための5つのポイント」でまとめているのであわせて読んでいただければ効率よくダイエットをすすめられると思います。
最低限必要なカロリーは基礎代謝量と同じと考えてOK
人間が生活する上で必ず必要なエネルギーは、最低限摂る必要があります。このエネルギーが「基礎代謝量」です。
基礎代謝量は、心臓や脳・内臓などが活動するために消費されるエネルギー量のこと。簡単に計算できるWebサイトなどがあるので、自分の体重のエネルギー量を調べてみましょう。
例えば
体重60kg身長160cmの25歳女性なら、約1390kcal。
体重60kg身長170cmの25歳男性なら、約1566kcal。
年齢や性別、体重によって異なります。この値は、1日中じっとしていても消費されるカロリーですので、最低限必要なカロリーと言えます。
一般に、成人男性の場合は1日に1400kcal、女性は1000kcal以上は摂るべきだといわれています。
男女別の基礎代謝基準値と基礎代謝量
厚生労働省が出している「日本人の基礎代謝基準値」から年齢別の基礎代謝量の目安をご紹介します。体重×基礎代謝基準値で1日の基礎代謝量を計算することができます。
男性の基礎代謝基準値
基礎代謝基準値 (kcal/kg体重/日) | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) | |
---|---|---|---|
12-14歳 | 31.0 | 49.0 | 1520 |
15‐17歳 | 27.0 | 59.7 | 1610 |
18-29歳 | 23.7 | 63.2 | 1520 |
30-49歳 | 22.5 | 68.5 | 1530 |
50-69歳 | 21.5 | 65.3 | 1400 |
70歳以上 | 21.5 | 60.0 | 1290 |
成長するにつれて基礎代謝量は上がっていきますが、30代をピークにしてそこから少しずつ落ちていきます。そのため、40~50代で若いころと同じ量の食事を摂ると太りやすくなります。
女性の基礎代謝量基準値
参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal/日) | |
---|---|---|
12-14歳 | 47.5 | 1410 |
15‐17歳 | 51.9 | 1310 |
18-29歳 | 50.0 | 1110 |
30-49歳 | 53.1 | 1150 |
50-69歳 | 53.0 | 1100 |
70歳以上 | 49.5 | 1020 |
男性と同じように30代をピークにして少しずつ落ちていきますが、男性より筋肉量が少ない分基礎代謝量も少なくなります。
私の場合、筋肉量が平均より少ないため、基礎代謝量も少なく1000kcalしかない状態です。もし、筋肉量が少ない人は100ほどマイナスにした方がいいかもしれません。逆に多い人は増やすと実数に近くなります。
今の体重をキープするために必要なカロリーは?
最低限必要なカロリーとは別に、今の体重をキープするカロリーも合わせてご紹介します。
体重キープのために必要な摂取カロリー=基礎代謝量×活動レベル指数+DIT(食事誘発性熱産生)
基礎代謝量は具体的に言うと「空腹時(食後12~15時間経過後)に20℃の室温で静かに横になり目覚めている状態」のエネルギー代謝量(最低限必要なカロリー)になります。
人は1日ずっと横になっているわけではないので、実際は基礎代謝量より多くのカロリーを消費していることになります。それが活動レベルとDITというわけです。
活動レベルの求め方
活動レベルは計算で求めるのではなくて自分の1日の行動を思い返してレベル1、2、3のうち該当するものを選びます。
- レベルⅠ 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合
- レベルⅡ 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、軽いスポーツ等のいずれかを含む場合
- レベルⅢ 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
レベルIは、入浴や数回のお手洗い、部屋の中を歩くなどの行動だけとる人が当てはまります。歩数で言うと1500~2500歩くらいだと考えてください。
年齢別活動レベル指数
身体活動レベルは年齢によって少しずつ違ってきます。
年齢 | レベル I(低い) | レベル II(ふつう) | レベル III(高い) |
---|---|---|---|
12 – 14 | 1.50 | 1.70 | 1.90 |
15 – 17 | 1.55 | 1.75 | 1.95 |
18 – 29 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
30 – 49 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
50 – 64 | 1.50 | 1.75 | 2.00 |
65 – 74 | 1.45 | 1.70 | 1.95 |
75以上 | 1.40 | 1.65 | ‐ |
食事誘発性熱産生
食事誘発性熱産生は食事をするときに消費するカロリーでDITとも呼ばれます。計算方法は、たんぱく質がおおよそではありますが1日の総消費カロリーのうち約10%と考えます。
たんぱく質を多く摂ることでDITは高くなるため、たんぱく質中心の生活を続けると痩せやすくなることがわかっています。
食事誘発性熱産生の計算方法など詳細は別の記事でまとめていますので、あわせて読んでいただくと理解が深まると思います。
DITは食事を摂る状況や環境によっても数値が変わるため、あえて省略され、「1日の消費カロリー=基礎代謝×身体活動レベル指数」だけで計算されるときもあります。
例えば、身体活動レベルが低い30代の女性の平均的な食事の摂取カロリーは1,150kca×1.5=1,725kcalになります(DITが200kcalの場合は1,925kcalになります)。
標準体重が53.1㎏なのでこれより落としたいときには1,725kcal(1,925kcal)より少ない摂取カロリーにする必要があります。
1日に最低限必要なカロリーより低くなってもすぐに影響は出ない
1日に最低限必要なカロリーは基礎代謝だというお話をしましたが、万が一それより低くなってしまってもすぐに何か影響が出るということはないので、たまにそういう日があっても心配する必要はありません。
ただし、摂取カロリーの過少状態が続くと頭がぼーっとしたり風邪をひきやすくなったりなど悪い影響は必ず出てきますので、無理はせず健康的なダイエットを心がけるようにしてください。